胃痛
胃痛

胃痛とは、一般的にみぞおち(胃のあたり)や、おへその上のあたりに感じる痛みや不快感のことを指します。
一口に胃痛と言っても、その現れ方は患者様や原因によってさまざまです。
胃痛の症状がある場合、自己判断せず、まずはその痛みの特徴やタイミングを整理することが大切です。
胃痛が起こるタイミングを把握することは、疑われる病態を予測するための重要な手がかりになります。
空腹時の痛み
お腹が空いているときに胃が痛む場合、「十二指腸潰瘍」などの可能性が疑われます。
食事を摂ることで一時的に痛みが和らぐのが大きな特徴です。
食後の痛み
食事の後に痛みが出る場合は、胃の粘膜そのものに問題がある(胃炎や胃潰瘍など)可能性が考えられます。
寝起き・夜間の痛み・胸焼け
朝起きたときや夜間にみぞおちや胸のあたりに不快感・痛みがある場合、胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎(胸焼け)」が疑われます。
健康診断などで「便潜血検査が陽性(大腸の病気などが疑われる状態)」と言われた方の中で、「最近胃痛や胃もたれがあるけれど、大腸とは関係ないだろう」と放置してしまうケースがあります。
しかし、以下のような「お腹のサイン(危険サイン)」が胃痛に伴っている場合は、単なる胃の不調ではなく、大腸の病気なども含めた全身的なチェックが必要です。
胃痛に加えて、吐き気や何度も出るゲップが止まらないという場合は、胃酸の逆流などが強く疑われます。
「痛み」とまでは言えなくても、「みぞおちのあたりが張る」「お腹がパンパンに膨れる(腹部膨満感)」といった症状も胃の不調の一種です。
これは胃の運動機能や消化機能が落ちているサインであり、背景に「慢性胃炎」などが隠れていることがあります。
痛みの「表現(種類)」は、原因となっている病気(炎症、潰瘍、がん、機能性ディスペプシアなど)を絞り込むための大切な手がかりになります。
急にキリキリ、ズキズキ痛む
急激に発症する痛みは、胃潰瘍の発生などが疑われます。
差し込むように鋭く痛む
急激に差し込むような強い痛みがある場合、寄生虫であるアニサキスによる急性胃炎などが考えられます。
長く続く、慢性的な重苦しい痛み
何日も、あるいは何週間も重苦しい感じが続くのは、慢性胃炎が疑われます。
長く続く不快感、重苦しさ(検査で異常がない)
胃カメラなどの検査をしても胃の粘膜に異常が見られないにもかかわらず、胃の重苦しさや不快感が長く続く場合は、胃の機能異常である「機能性ディスペプシア(FD)」の可能性があります。
数分で消える痛みを繰り返す場合
一時的に治まることが多いですが、放置せず基本的には受診をおすすめします。
数時間ずっと持続する痛み
痛みが消えずに長く続いている状態は、何らかの深刻なトラブルが起きている可能性があり、非常に心配です。
「早めに受診すべき重要なサイン」と捉えてください。
「胃が痛い」と感じて胃カメラ検査を受けても、胃の中は非常に綺麗で何も異常が見つからないことがあります。
実はこのようなケースで、大腸の強い便秘が原因になっていることがよくあります。
大腸に便やガスが大量に溜まることで、大腸そのものが圧迫されたり、神経を介した「関連痛」としてみぞおちのあたりに痛みや不快感を引き起こしたりするのです。
特に若い世代の便秘の場合、最初から身体への負担が大きい大腸カメラ(内視鏡)を行うのではなく、まずはレントゲン検査を行うことで、大腸に便が溜まっていないかを簡便に確認することができます。
胃痛を引き起こす要因には、日常の生活習慣から細菌感染、お薬の副作用まで多岐にわたります。
過度なストレス
自律神経を乱し、胃酸の分泌過多や胃の血流悪化を招きます。
暴飲暴食
胃に過度な負担をかけ、急性胃炎を起こします。
解熱鎮痛剤(お薬の副作用)
痛み止め(ロキソニンなど)の常用は、胃の粘膜を保護する成分を減少させ、胃を直接荒らす原因になります(薬剤性胃粘膜障害)。
ピロリ菌感染
ピロリ菌が胃の中に長期間棲みつくことで、慢性的な胃炎(萎縮性胃炎)を引き起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めます。
自律神経の乱れや薬の副作用は、胃だけでなく腸全体の動きや血流を悪化させ、結果として胃腸全体の痛みや機能障害を招く原因になり得ます。
基本的には一時的な刺激によるものであることが多いため、まずは原因となるものを控えて様子を見ていただいて大丈夫です。
しかし、それらをやめてもなお痛みが続く、あるいは何度も繰り返す場合は、すでに胃粘膜が傷ついている(胃炎や潰瘍などがある)可能性がありますので、受診して一度しっかりと検査を受けるようにしてください。
風邪などで体調が悪い時、食事が十分に摂れないことで胃の中に胃酸だけが過剰に分泌されて胃壁を傷つける(胃酸過多)ことがあります。
また、風邪のウイルスなどによる胃腸炎を合併していることも胃が痛む原因の一つです。
胃痛の症状がある場合、一般的には以下のような疾患が疑われます。
若い世代(20代〜30代)の胃痛
若い世代は胃の粘膜そのものが非常に綺麗な方が多い(ピロリ菌感染率が低い)ため、ピロリ菌による慢性胃炎は少ない傾向にあります。
その代わり、仕事などのストレスによる胃酸の過剰分泌、あるいは逆流性食道炎が多く見られます。
高齢者の胃痛
高齢者の方の胃痛で最も警戒しなければならないのは、胃がんなどの悪性疾患です。
胃の痛みだけでなく、体重減少や食欲の低下が見られる場合は、悪性疾患の可能性を考慮し、速やかに詳しい検査(胃カメラなど)を行う必要があります。
便潜血検査は主に大腸がんなどを調べる検査ですが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、進行した胃がんなど「胃(上部消化管)」からの出血量が多い場合でも、便潜血検査で陽性反応が出ることがあります。
必ずしも便が真っ黒(黒色便)にならなくても、目に見えない微量な血液が混ざることで陽性になるため、便潜血陽性の際は胃と大腸の両方の検査(上部・下部内視鏡検査)を考慮することが推奨されます。
「みぞおちが痛いから胃の病気だろう」と思って受診された結果、実は胃ではなく、心臓(心筋梗塞など)や、胆石(胆のう)、膵臓の病気だったというケースは実際によくあります。
これらは血液検査の数値や、他にどのような症状(背中の痛み、脂汗、息苦しさなど)を伴っているかで判別を行います。
少しでも不安な痛みがある場合は、まずは当院のような一般内科にお越しください。
必要に応じて心電図検査や腹部エコー検査などを追加し、適切な診断を行います。
非常に残念ながら、胃がんと胃潰瘍は初期の段階では症状だけで見分けることは極めて困難です。
最終的には胃カメラで胃の粘膜を直接観察しなければ正確な診断は下せません。
少しでも胃痛が続く場合は、自己判断せずにお早めにご相談ください。
当院では、患者様の症状や身体の状態に合わせて、以下のような検査を組み合わせて実施します。
胃痛(胃の症状)と便潜血陽性(大腸からの出血の可能性)の両方がある場合は、「胃カメラ」「大腸カメラ」「血液検査」「腹部超音波(エコー)検査」のすべてを検討します。
大腸カメラ
まずは便潜血に対して大腸カメラを行い、大腸の粘膜に異常やポリープ、がんがないかを確認します。
胃カメラ
胃痛に対して血液検査(貧血や炎症のチェック)を行った上で、胃カメラ検査により胃や十二指腸の粘膜の状態を直接確認します。
腹部超音波(エコー)検査
内視鏡検査に加え、膵臓や胆のう、肝臓など他の臓器に問題がないかを調べるために実施します(優先順位としては、最後になることが多いです)。
当院では、胃カメラと大腸カメラを同日に両方受けていただくことが可能です。
時間的なメリット
お仕事や家事で忙しい方でも、何度も来院・通院する手間を減らし、1日のスケジュールにまとめることができます。
休薬の負担軽減
血をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)を服用されている場合、内視鏡検査前に一時的な「休薬」が必要になることがあります。
同日検査であれば、休薬期間を1回に短縮できるため、心血管へのリスクや患者様の身体的負担を大きく軽減できます。
※デメリットとして、お腹に空気が入る時間が長くなることや、拘束時間による多少の疲労感は生じます
もし一度の検査で「胃潰瘍」と「大腸ポリープ」が同時に見つかった場合でも、並行して治療を進めることが可能です。
胃潰瘍の治療
胃酸を強く抑える薬の処方とともに、原因となるピロリ菌の検査および除菌治療を計画的に進めます。
大腸ポリープの治療
大腸ポリープが見つかった場合は、多くのケースで検査時にその場で同時にポリープを切除(日帰りポリープ切除)することが可能です。
歩くと響くようなお腹の痛み
胃や腸に穴が開き、腹膜炎を起こしている可能性があります。
吐血(血を吐く)
胃や十二指腸からの出血量が多い証拠であり、命に関わることもあります。
冷や汗を伴うような激しい痛み
心筋梗塞や膵炎、潰瘍の穿孔(穴が開くこと)など、重大で重症な病気が隠れています。
便が黒い(黒色便)、または真っ赤な便が出る
消化管のどこかで大出血を起こしている可能性があります。
胃・十二指腸に穴が開いてしまう
(穿孔・せんこう)
原因が潰瘍の場合、放置すると深く削れ、最終的に胃壁に穴が開いて緊急手術が必要になることがあります。
重度の貧血
じわじわとした出血に気づかず、著しい貧血が進行して日常生活に支障をきたすことがあります。
がんの進行
初期段階のがんが隠れている場合、適切な時期に治療を行う機会を失い、進行がんとなってしまう危険があります。
胃の病気単体で熱が出ることは比較的少ないですが、以下のケースが懸念されます。
日常生活の中で、胃と腸をどちらも健康に保つための生活習慣のポイントをご紹介します。
ストレスを溜めない工夫
ストレスは胃酸を増やし胃粘膜を傷つける最大の敵です。
自分なりのリラックス方法を見つけましょう。
暴飲暴食を避け、楽しんで食べる
胃腸に負担をかけないよう、よく噛んで、好きなものを楽しみながら食べることで自律神経が整います。
しっかりと休む
睡眠不足や疲労は消化機能を低下させます。
適度な飲酒
お酒は適量にとどめましょう。
【禁煙】たばこはやめる
喫煙は胃や腸の血流を悪化させ、粘膜の修復を妨げるため、禁煙を強くお勧めします。
お腹の調子が悪い時、外食やコンビニを利用する際は、「塩分の多いもの」「揚げ物(油っこいもの)」を避けるのが鉄則です。
胃の消化負担を減らすため、あっさりとした消化の良いものを選んでください。
あまり気にしすぎない
神経質になりすぎると、それが新たなストレスとなって胃を荒らしてしまいます。
気楽に構えることも大切です。
胃に優しい飲み物を選ぶ
コーヒーや紅茶などはカフェインが胃を刺激することがあるため、胃が痛いときはハーブティーなどを選んでリラックスを心がけてください。
ヨーグルトを取り入れる
ヨーグルトは胃の粘膜を保護する効果があり、腸内環境の改善にも役立ちます(偏食や食べすぎには注意し、毎日適量を続けることが大切です)。
空腹の時間を長く作らない
胃の中に何も入っていない時間が長すぎると、胃酸が胃壁を直接傷つけやすくなります。
胃が荒れやすい方は、極端な空腹時間を避けるようにしましょう。
胃が痛くなる症状を経験する方は非常に多いため、軽度の痛みであれば、一時的に市販の胃薬を飲んで様子を見ていただくことは問題ありません。
ただし、「黒い便が出る」「市販薬を数日飲んでも治らない」「痛みがどんどんひどくなる」「痛くて食事が取れない」といった症状を伴う場合は、重大な病気や出血が隠れている可能性が高いため、自己判断を続けずにすぐに医療機関を受診してください。
大いに関係があります。「胃が痛い」と感じていても、実は胃の背中側にある「膵臓(すいぞう)」や「心臓(心筋梗塞など)」の病気が原因で、背中に強い痛みが出ていることがあります。
胃や背中の痛みに気づいたら自己判断で放置せず、まずは内科を受診して必要な検査(採血、エコー、心電図など)を受けるようにしてください。
一般的には、お腹を温める方が血流が良くなり胃腸の緊張が和らぐため、痛みが軽減されると考えられています。
ただし最も大切なのは、「ご自身が温めるのと冷やすの、どちらが楽になるか」という点です。自分がより楽に(心地よく)感じる対応で問題ありません。
検査に伴う痛みや苦しさを最小限にする方法は、複数あります。
当院では、眠っているようなリラックスした状態で検査を受けられる「鎮静剤(麻酔)」の使用や、オエッという嘔吐反射が起きにくい鼻からのカメラ「経鼻内視鏡」などを採用しており、辛さをほとんど感じず楽に受けていただくことができます。
検査を受けて原因がはっきり分かると、「がんだったらどうしよう」という大きな不安から解放され、それだけで胃痛が軽くなる方もいらっしゃいます。恐怖心が強い方もぜひ一度ご相談ください。
基本的には効果があります。
ヨーグルトは胃の粘膜を優しく保護する働きがあり、含まれている乳酸菌なども胃腸に良い影響を与えます。
市販のどれでもお好みの製品で大丈夫です。
ただし、「こればかりを過剰に食べる」「一気にたくさん飲みすぎる」といった食べすぎ・偏りは、かえって胃酸の分泌を増やしたり消化不良を起こしたりして逆効果になることがありますので、適度な量を上手に楽しむようにしてください。
はい、早めに胃カメラ検査を受けていただく必要があります。
バリウム検査で要精密検査という指摘があり、さらに「胃痛」という実際の自覚症状が出ているということは、胃の粘膜に潰瘍やポリープ、悪性腫瘍(胃がん)などの病変がすでに生じている可能性が十分に考えられます。
手遅れや重篤化を防ぐためにも、決して先延ばしにせず、できるだけ早く胃カメラ検査を予約して受診してください。
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