機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア

胃の痛みや胃もたれなどの不快な症状が続いているにもかかわらず、胃カメラ検査を行っても原因となる病気(胃がんや胃潰瘍など)が見つからない状態を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。
現代人に非常に多く、特に20代〜30代の女性、また比較的痩せている方に多く見られる病気です。
当院では患者様の不安を和らげ、お一人おひとりに合わせた最適なアプローチを行っています。
特に原因となり得る疾患が検査で見つからないにもかかわらず、みぞおちの痛みや胃もたれといった胃の不快感を慢性的に感じていらっしゃる状態です。
「機能性」とは、胃の「形(構造)」に異常はなく、胃の「働き(機能)」に問題があることを示しています。
主な原因は、胃の動きの低下や、胃の知覚過敏、そしてストレスです。
胃の動き(収縮・弛緩)の悪さ
食べたものを十分に胃に受け入れたり、十二指腸へスムーズに送り出したりする胃の働きが低下することによって症状が起こります。
知覚過敏
胃が少し膨らんだり、少量の胃酸に触れたりするだけでも、強い不快感や痛みとして感じやすくなってしまいます。
ストレス・自律神経の乱れ
胃は脳と深くつながっており(脳腸相関)、過度なストレスがかかると瞬時に胃の動きが低下したり、痛みを感じやすくなったりします。
偏った食生活
極端に偏った食事(ダイエット食品、極端な野菜中心、特定の食品の食べすぎなど)も、胃が膨らみやすくなるなど負担をかける原因になります。
現代人のライフスタイル
運動不足(デスクワークやスマートフォンの見すぎ)や不規則な食生活も、胃の動きを悪くする直接的な原因になり得ます。
診察室では、患者様から以下のようなお言葉でご相談をいただくことが多くあります。
早期の満腹感
食べ始めてすぐに満腹になってしまい、お腹が張って最後まで食べられない。
食後の胃もたれ
食べた後、いつまでも胃が重く、お腹が減らない、すっきりしない感じが続く。
みぞおちの痛み(心窩部痛)
みぞおちのあたりがズキズキ、またはしくしくと痛む。
みぞおちの灼熱感
みぞおちのあたりがカッと熱くなる、または焼けるような感じがする。
お腹の張り・その他
お腹がぽっこり張ってきてしまう(筋肉の少ない方に多い)、ゲップやガス(おなら)がうまく出せないといった不快感。
一時的な食べすぎによる胃もたれであれば、時間の経過とともに症状は治まります。
一方で機能性ディスペプシアの場合は、特定の食事に関係なく、不快な症状が慢性的・持続的に繰り返される点が異なります。
胃がんやピロリ菌感染、胃潰瘍などの「目に見える病気」がないことを確認した上で、初めて「機能性ディスペプシア」と診断されます。
そのため、胃カメラ検査(内視鏡検査)は非常に重要です。
「自分には何もない」「気のせいだ」と思い込んで検査を避けていると、実は進行したがんや治療が必要な胃潰瘍が隠れていることもありますので、まずは一度確認することが必要です。
胃カメラ検査に対して強い恐怖心がある方にも受けていただけるよう、当院では「鎮静剤・鎮痛剤の使用」や、嘔吐反射の出にくい「経鼻内視鏡(鼻からのカメラ)」を使用するなどの工夫を行っています。
当院では、患者様お一人おひとりの状態やお薬に対するお考えを尊重しながら、適切に組み合わせた治療を行っています。
お薬による治療
胃酸の分泌を抑えるお薬や、胃の動きを良くするお薬を処方します。
最初は副作用も考慮しながら2週間程度処方し、効果が現れるころ(早い方では数日〜1週間程度)に様子を見ます。
その後、お薬の量を減らしたり種類を徐々に減らしたりして調節していきます。
漢方薬による治療
西洋薬に抵抗がある患者様や、症状のタイプに合わせて漢方薬から処方を始めることも可能です。
抗不安薬などの検討
ストレスなど精神的な要素が強く関わっていると判断される場合は、適宜考慮することもあります。
胃の動きを整え、健康的に機能させるために、以下の点に気をつけてみましょう。
規則正しい食生活
1日に3回、規則正しく食べることで胃を適度に動かすトレーニングになります。空腹の時間を無理に長くしすぎないようにしましょう。
適正な食事量
食べすぎは良くありませんが、少食すぎても胃の筋力が低下します。適度な量を意識しましょう。
寝る直前の食事を避ける
夕食は寝る2〜3時間前には済ませるようにします。
お腹を動かす軽い運動
運動不足も胃の動きの低下を招きます。
お家の中で軽いストレッチを行ったり、無理のない範囲で体を動かしたりすることが、胃を動かすアプローチになります。
リフレッシュの習慣
ストレスと胃の不快感は直結しています。ハーブティーを飲む、アロマを焚くなど、ご自身が安心できる・胃に負担のかからない方法で息抜きする時間を作りましょう。
長年、お腹が弱い体質だからと諦めていたり、周囲から「気のせいだよ」と言われて我慢を続けたりしてきた患者様は非常に多くいらっしゃいます。
偏った自己判断の食事制限が、かえって症状を悪化させていることもあります。機能性ディスペプシアには、しっかりとした診断基準と、効果を期待できる治療(お薬や漢方など)が存在します。
「胃カメラで何もない」と分かるだけでも、脳と胃の関係によって胃の調子がすっきり改善する(楽になる)患者様も数多くいらっしゃいます。
一人で悩まず、ぜひ一度ご相談に足を運んでいただければと思います。
症状が軽くなったらお薬をやめていただくことは可能ですが、劇的に「すぐにやめる」のではなく、少しずつ量を減らしたり、お薬の種類を少なくしていきながら、徐々にやめていくのが理想的です。
主治医と相談しながら減らしていきましょう。
市販薬にも副作用がありますし、医療機関での正確な診断を受けていない状態では、がんなど重篤な病気の発見が遅れるリスクがあります。
漫然と市販薬に頼るのではなく、一度内科で胃カメラをはじめとする検査を受けることをお勧めします。
ピロリ菌の感染が原因で胃の機能低下を招いている場合は、除菌によって症状が改善される可能性があります。
しかし、ピロリ菌を除菌した後も、胃粘膜の炎症(慢性胃炎など)が残ることで症状が持続する方もいらっしゃいます。
除菌のみで自己解決せず、適切な通院とフォローを継続されることが重要です。
機能性ディスペプシアという診断自体は、そもそも「検査でがんなどの器質的異常がないこと」が前提となる病気です。
そのため、毎年定期的な検査を受けていれば、進行した病気を見逃すリスクは極めて低いです。
しかし、「前からあるいつもの胃もたれだから」と思い込んで受診や検査を一度も受けていないと、気づかないうちに胃がんが進行しているリスクがありますので、放置することは大変危険です。
胃酸が過剰に分泌されてお腹が張りやすい(胃酸過多)状態の方にとっては、1回の食事量を減らし、空腹時間を短くするための回数分け(分食)は良いアプローチになり得ます。
ただし、それによって食事時間自体が寝る直前などに不規則になってしまうと、胃の負担を増やしてしまいます。
あくまで規則正しい日中の3食の範囲内で、お腹の状態を考慮して上手に調整することがポイントです。
人によっては体質に合い、症状が改善するケースもあります。
ご自身で服用してみて良い実感が得られるものであれば取り入れていただくのも方法ですが、サプリメント等であっても副作用のリスクは常にありますので、注意深く様子を見ながら服用されることをお勧めします。
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