大腸がん
大腸がん

大腸がんは、大腸に発生する悪性腫瘍(がん)です。
大腸のどの部分にもできる可能性はありますが、私の印象としては、特に左側にあたる後半の大腸(直腸やS状結腸など)に多く見られるように感じます。
大腸がんは、良性のポリープが徐々に進行してがん化していくケースも非常に多いため、何よりも「早期に見つけること」がとても大切になってきます。
現在、日本国内では大腸がんの患者様が非常に増えています。
年間で約15万人もの方が 罹患 されており、死亡原因を見ても女性では第1位、男性では第2位という状況です。
決して他人事ではない病気だと言えます。
よく「症状が出た時点ですでに進行している」と言われますが、これには理由があります。がんができる場所にもよりますが、消化された便が完全に詰まってしまって出なくなるまでには、相当な時間がかかります。
そのため、目に見える症状として自覚した時には、かなり進行してしまっているケースが少なくありません。
また、血便が出ても「ただの痔だろう」と放っておいてしまい、数ヶ月など長い期間が経ってからようやく検査に来られる方が多いのも、発見が遅れる一因になっています。
右側の大腸(盲腸や上行結腸など)
このエリアではまだ便が柔らかいため、便が詰まるような症状は出にくく、「なんとなくお腹が鈍く痛む」といった表現をされる方が多いです。
自覚症状がほとんどなく、健康診断の便潜血検査で引っかかって見つかるケースや、体重減少、貧血の検査をきっかけに盲腸のがんが見つかるケースがあります。
左側の大腸(下行結腸やS状結腸、直腸など)
こちら側の方が症状が出やすいのが特徴です。
便が固まってきているため、お腹の痛みや脇腹の張りを感じたり、肉眼でわかる血便が出たりしやすくなります。
しかし、いずれの場所であっても、「症状が全くないまま進行している」というパターンが大腸がんには非常に多いということは、ぜひ知っておいていただきたいです。
「ただの痔だと思わずに受診してほしい」とお伝えするのはなかなか難しいのですが、私はよく患者様にこんな風にお話ししています。
「便潜血で陽性が出たり、1回でも血が出たりしたのなら、それは神様が下ろしてくれた『蜘蛛の糸(早期発見のチャンス)』かもしれません。
不運と思わずに、必ず1回は検査しましょう」
1年以内などに大腸の検査をしていて「ポリープもなく、本当にただの痔ですね」と言われているなら安心ですが、しばらく検査をしていない方で出血などのサインがあった場合は、やはり一度しっかり検査を受けてみるべきだと思います。
早期に発見できた場合は、多くの場合、お腹を切らずに「内視鏡(大腸カメラ)」を使ってその場で治療・切除することができます。
内視鏡治療であれば入院期間も短いですし、完全に治癒を目指すことが可能です。
一方で、残念ながらある程度進行した状態でみつかった場合には、手術(外科治療)が必要となり、状況に合わせて抗がん剤治療などを組み合わせていくことになります。
進行していると、それだけ体への負担も大きくなりますし、入院期間も長くなります。
その後の抗がん剤治療も含めると、治療にかかる期間や心身の負担はやはり大きくなってしまいます。
多くの方にとって、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は少しハードルが高く、受けづらい検査だと感じられるかもしれません。
だからこそ、まずは「便潜血検査」を大切にしていただきたいのです。
便潜血検査は痛みもなく、大腸がんの可能性を調べる(スクリーニングする)ための非常に重要な検査です。
ぜひ毎年欠かさずに受けていただきたいと思います。
よく「2日間のうち1日だけ陽性だったから、たまたまだろう」と再検査を受けない方がいらっしゃいますが、これは禁物です。
1日だけでも陽性が出たということは、腸の中で何かしらの出血原因がある可能性が高いということです。
「たまたま」と見過ごすのではなく、「今回陽性が出たのには理由がある」と捉えて、必ず精密検査(大腸カメラ)に進んでください。
大腸がんそのものや、その前駆病変(手前の段階)である大腸ポリープは、40代を過ぎると目立って増えてくる傾向があります。
そのため、私たちは「40代を過ぎたら、まずは1回大腸カメラをやってみてください」とお伝えしています。
40代はお仕事や子育てなどで、まさに一番忙しい世代であることは本当によく理解できます。
しかし、これから先もご自身が健康で元気に頑張っていくためには、検査をして「異常がないこと」を確認したり、早めにポリープを切除してがんを予防したりすることが非常に重要です。
何よりも優先して受けていただきたい検査です。
一般的に、食事の面では赤身肉(牛肉や豚肉など)や加工肉(ハムやソーセージなど)の摂りすぎ、そして過度のお酒やタバコは、大腸がんのリスクを高めると言われています。
そのほか、運動不足や肥満など、体重のコントロール不足も関わっていると考えられています。
また、ご家族に大腸がんや大腸ポリープを患った方がいる(家族歴がある)場合は、体質的にポリープができやすく、結果としてがんの発症リスクも高くなる傾向がありますので、より注意が必要です。
大腸を調べる方法には、ほかにもコロノグラフィー(CT検査)やバリウム検査などがありますが、やはり「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」が最も確実な診断方法です。
医師が肉眼で直接粘膜を観察することで、病変の種類やどのくらいの深さまで達しているか(深達度)を的確に捉えることができますし、その場で組織をつまんで調べる「生検(せいけん)」ができるのも、内視鏡ならではの大きな強みです。
少しでも患者様の不安や苦痛を和らげるため、当院では以下のような工夫を取り入れています。
細いカメラの使用
苦痛を軽減するため、通常より細い内視鏡を使用することがあります。
鎮静剤・鎮痛剤の活用
リラックスして受けていただけるよう鎮静剤を使用し、必要に応じて痛み止めの鎮痛剤も併用します。
炭酸ガスの使用
検査後のお腹の張りを速やかに解消するため、吸収されやすい炭酸ガスを注入しています。
院内での下剤服用
自宅で下剤を飲むのが不安な方のために、クリニック内でスタッフが見守るなか下剤を飲んでいただける環境を整えています。
大腸ポリープの中で最も頻度が高いのが「 腺腫 」と呼ばれるものです。
この腺腫は放置すると将来的にがん化することが分かっているため、大腸カメラの検査時に見つけ次第、その場で切除(内視鏡的切除)してしまうことが、確実な大腸がん予防に繋がります。
検査のための下剤を飲む作業は、患者様にとって非常に大変なことです。
もし「ポリープが見つかったので、取るためにまた別の日に来てください」となると、もう一度下剤を飲むストレスがかかってしまいます。
そのため、検査と同時にその場で切除してしまうことは、患者様にとってスケジュール面でも精神面でも大きなメリットがあります。
日帰りでのポリープ切除によって、検査自体の痛みが強くなったり辛くなったりすることは基本的にはありませんので、安全な許容範囲の中で安心して治療を受けていただけます。
日常でできる予防としては、先ほどお話ししたリスク要因(過度な赤身肉・加工肉、お酒、タバコなど)を少し意識して避けていただくことです。
また、便秘などで便が腸に長く留まることも良くありません。
毎日しっかりとお通じが出るよう、こまめな水分補給や適度な運動を心がけてください。
毎日お通じを確認する習慣がついていると、「最近便が細くなってきたな」「血が混ざっているな」「いつも通りに出ないな」といった体からの小さなサイン(変化)に、ご自身でいち早く気づくことができるようになります。
ぜひご自身の便に関心を持って、便秘にならない生活を意識してみてください。
私たちは食事をすれば必ず便が出ます。
大腸はそれだけ身近で大切な臓器です。
「少し便が細くなった気がする」「便秘が続く」「お腹が痛い」といった些細な変化であっても、放置せずすぐに受診して検査を受けていただきたいです。
それが、その場での治療や大腸がんの確実な予防に繋がっていく、一番大切なステップになります。
「陽性=がん」というわけではありませんので、過度にパニックになる必要はありません。
しかし、先延ばしにしている間に、もし本当にがんがあった場合は進行してしまうリスクがあります。
原因をはっきりさせるためにも、できるだけ早く大腸カメラの予約をとり、受診していただくことを強くおすすめします。
はい、もちろんすべて健康保険の適用(保険診療)となりますので、安心してご相談ください。
前日は朝から、繊維質や脂肪分の少ない「消化の良いもの」を召し上がっていただきます。
具体的に何を食べればいいか不安な方のために、当院ではレトルトの「検査食」もご用意しております。
当日の流れとしては、検査の5〜6時間前からご自宅(または院内)で下剤を飲み始めていただき、腸の中を綺麗にしていただきます。
来院後、スタッフが便の状態を確認させていただいてから検査へと進みます。
もしご自宅で下剤を飲んでいる最中にお腹が痛くなったり、体調が悪くなったりした場合は、すぐに当院へご連絡ください。
来院してから下剤の続きを飲んでいただくなどの対応も可能です。
はい、若い世代であっても大腸がんになる可能性は十分にあります。
「若いから大丈夫」と思わずに、持続する腹痛、長引く便秘、そして何より便に血が混ざる(血便)といった症状があれば、早めに受診してください。
若い方の血便は「痔だろう」と見過ごされがちですが、確認のためにも一度来ていただければと思います。
ポリープを一度切除しても、体質的にまた新しいポリープができることがあります。
そのため、基本的には「2〜3年に1度」のペースで定期的に大腸カメラを受けていただくのが理想的です。
ただし、切除したポリープの個数が多かった方や、がん化のリスクがある腺腫の性質が強かった方などには、「1年後」の定期検査をおすすめする場合もあります。
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